これまで行ってきた原状回復工事ではなく、いざリノベーション・リフォームをしようと考えた時、
「何から手をつけて良いものか・・・」と思われる賃貸マンションオーナー様等 不動産オーナー様は多いのではないでしょうか?
現在は家賃を下げても「必要最低限」の住環境(内装・設備)が揃っていないと入居はしてもらえません。
なぜなら今の新築(築浅物件)は、「必要最低限」の住環境(内装・設備)を揃えつつ、かつ賃料がお安い物件が多数あります。
入居希望者様はその中からスマートフォン一つで、条件を絞り簡単に検索することができるのが現状です。
では、ここでいう最低限とはなんでしょうか?
私たちが物件を調査しに行った際に、必ずチェックするポイントにもなりますので一つずつ解説をしてみたいと思います。
防犯対策面の確認
●TVモニターフォンの設置について
オートロックを設置するのが難しくても、必要最低限TVモニターフォンは設置しましょう。
ネット通販を利用する方が増えている今、必然的に来訪者は増えますのでモニター画面で確認をできた方が間違いなく安心です。
水回り設備面を確認
●電気コンロからIHやガスコンロへの交換
単身者物件に多い電気コイルのキッチンも今は最低限IHへと変更を行った方が良いでしょう。
●瞬間湯沸かし器、バランス釜は給湯器へと変更
こちらは給湯器を設置しましょう。
配管もやりなおしの為、最も費用がかかる工事にはありますが、バランス釜や瞬間湯沸かし器は現代での需要は無いに等しいでしょう。
これが残っている状態の物件はかなり築古の物件だと思うので、水回りの工事全般を含めたリノベーションを検討するべきでしょう。
従来行ってきた原状回復のみでは厳しい段階にあると言えます。
配管の工事は、漏水を防ぐ為にもしっかりと行った方がよいでしょう。

● ウォシュレット便座の設置
和式便器はもちろん洋式へと変更しなくてはなりませんが、ウォシュレット便座の設置も近年マストになってきました。
ただ人が使ったものは嫌だという方もいるので、入居時にプレゼントでも良いかもしれません。
その際にトイレに電源があるかどうかも確認を行っておくべきです。
● 洗面台の設置
これもファミリータイプの新築物件では殆どが設置されていますため、もしもなければ今後設置をしたい設備です。
ただ置く場所について、脱衣所の中が好ましいので脱衣所がなければ合わせて作りたい部分です。
● 洗濯パンを室内へ設置
古い物件では外に置いてあるケースも少なくありませんが これも室内へと移動した方がよいでしょう。
外でも問題ないよという方もいますが、新築/築浅物件が安い賃料で中にあるので、それと比較された時に入居が決まらない原因になります。
間取り面のチェック
間取りにはそれぞれの生活スタイルがあるので千差万別ですが、DKタイプの間取りは家族の人数が多く部屋数をたくさん取りたかった時代のものです。
現代は少子化が進んでいますので部屋数は重視されておらず、どちらかというと自由に家具をレイアウトできるような開放的な間取りが重要視されています。
これは安価な家具メーカーが増えて、「家具のレイアウトを自由に生活を楽しむライフスタイルが支持されてきた」ことも要因の一つです。

間取りは2DKであれば1LDK、3DKであれば2LDKへと変更工事を行います。
ただここで注意が必要なのは、そもそも2DKでも平米数が狭い物件もあります。
それを無理に1LDKにしても極小の1LDKが出来上がってしまい、それこそ新築/築浅の1LDKと比較をされた場合、
入居希望者に支持されるのか?を十分考えなくてはなりません。
それであれば、広めの1Kタイプの間取りへと大胆に変更を行った方が競合が少なく、人気物件になるケースもあります。
和室に関する考え方のPOINT
●和室から洋室へと変更 ●押入れからクローゼットへの変更 ●襖から洋室扉へ変更
結論、和室を残すかどうかは物件によります。
和室の工事はどの空室対策でも真っ先に上げられますが、私たちは何もすべて洋室にしなくても良いと考えています。
例えば小さなお子さんがいるご家庭では「和室があった方が遊び場として使いやすい!」「布団を敷いてみんなで寝ることができる」などの理由で、
和室が重宝されることもあります。
このような見分け方は、その物件がどのような生活圏内であるか?をまず見極める必要があります。
学校や幼稚園が近隣エリア内にあり、子育ての環境が良いエリアであれば間取りはDKのままで和室を残しても良いでしょう。
和室が敬遠される理由は色々あります。
「和室」=「古い」というイメージがありますが、きれいな高級温泉旅館のような和室ならば むしろ歓迎されます。
最近ではおしゃれな襖材、畳の縁がおしゃれな柄のものも多く出てきました。そのため、洋室へと変える前に一度検討してみることも必要です。
そして最もいけないのは、畳からフローリングにしたが古い「襖がそのまま」、「押入れは残ったまま」、「古い柱はそのまま」、「照明は和紙でできている」
…などのいわゆる中途半端なリフォーム工事です。
費用を抑えたつもりがいつまでも入居がつかず損失が多くなる典型的マイナスな事例です。
小物類スイッチやコンセント、照明器具の交換面
クロスを綺麗に貼り替えても、照明や壁のスイッチ、コンセントの古さが目立つ、このような経験はありませんか?
内見をした際に、入居希望者がその部屋に決めなかった「何となく古い…」と感じる部分の一つでもあります。
細かいところだと分電盤、ペーパーホルダー、タオルかけ、TVジャックなどです。
料理でいうと飾り付けです。せっかく原状回復やリフォーム工事を行っても装飾が古ければ「結果、古いと感じる」ことになります。
塗装面の改善
現在塗装が施されている部分で、特に巾木や窓枠などの塗装が剥げていることはありませんか?
やはりこれらもそのままだと古さが目立ってしまいます。
入退去時の原状回復の度に全面塗装を行う必要はありませんが、一度も手を入れず塗装剥げが目立つようであればやはり塗装工事をすべきです。
その際の色味も重要です。その物件に合わせたカラーリングを意識しましょう。
建具の考え方について
通常のリフォームで建具が使えるようであれば、勿論そのまま使用しても問題ありません。
もちろん破損箇所、目立つ傷があれば、その部分の補修施工を行うことが必要です。
しかしリノベーション工事の場合、他のデザインとマッチするかどうか?を考えなくてはいけません。
例えば和室を洋室にした際に、「クローゼットの建具を新品へ交換したものの、他の建具は古いままで柄が合わない…」「建具は元々あった茶系のレトロな柄で傷もなく使用自体はできるものの、床を白系で分譲マンションのような大理石調に変更したため、室内の雰囲気がチグハグな雰囲気になってしまった!」などの例です。
この辺りはインテリアコーディネート術が必要になってくる分野で、一般的な工務店ではこういったビジュアル的な統一感に関する助言はしてくれません。
賃貸物件の原状回復/リフォーム工事では入居希望者に選ばれる部屋作りをしなくてはなりませんので、この辺りも重要なポイントになってきます。
また建具は「交換」、「リメイク」のいずれかで再生可能です→「建具のシート貼り」をご参考ください。
リノベーションの大まかなステップとして
1:どこを直すか?を決める(仕様を考える)
2:具体的なデザイン/ビジュアル面を決める(品番を決める)
こちらの2ステップになりますため、自分の物件のどこをどう直せば良いか?をまずは決めることが大切です。
「人が住む場所」なので、「人に貸すものだから」という気持ちではなく、「借りていただけるように」という心遣いで整理を行うといいでしょう。

・クロスを貼り替える
・傷の補修
・故障箇所の修理及び清掃
この辺りは当然行わないといけません。
クロスも汚れた部分だけを貼り替えて、あとは適当に拭いて終わりの場合 古い所が余計に目立ってしまい気持ちよくはありません。
何十年と使った古いエアコンも「まだ使えるから…」という理由ではなく、古臭さを感じないか?清潔感があるか?といった目線で検討することが大切です。
もちろん全てを最高級のものにする必要はありませんが、「お客様」を迎え入れる以上、気持ちよく暮らして頂きたいという目線が必要です。



